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【セッションレポート】ゲームが長く愛されるためのコミュニティとの向き合い方。キーワードは「信頼」

毎年多くの新作ゲームがリリースされる一方、ファンの心を掴みきれずサービス終了を迎えてしまうタイトルも多い中、長く愛されるために重要な要素の1つが、強固なファンコミュニティです。
「GAME FUTURE SUMMIT 2024(2024年6月5日開催)」では、ファンの熱量が高いコミュニティを作り上げるためにはどうすればよいのか、ゲーム事業会社のマーケティング部門とユーザーコミュニティの両方から考えるセッションが行われました。
「敏腕コミュニティマネージャーが語る、タイトルが長く愛されるためのコミュニティとの向き合い方」と題したそのセッション内容をレポートします。


登壇者紹介

【パネリスト】

原田 香(株式会社エイリム PRグループ マネージャー| 株式会社gumi Studio FgG プロモーション)/かおりんご
2013年、株式会社エイリムへ入社。「ブレイブ フロンティア」シリーズを中心とした、同社が配信する全タイトルのマーケティング・プロモーションに従事。企画から出演まで、多岐にわたり宣伝担当“かおりんご”として最前線でコミュニケーション活動を務める。現在は活動領域を広げて企業広報から渉外対応、またグループ会社(株式会社gumi)および外部のプロモーション支援も担当。

小倉 菜七(株式会社ディー・エヌ・エー『逆転オセロニア』コミュニティマネージャー)/おぐなな
1999年生まれ。2022年4月に株式会社ディー・エヌ・エーへ新卒で入社。入社後の配属から現在まで『逆転オセロニア』コミュニティチームにて、ユーザーマーケティング・コミュニティマネジメントに従事。年間20回以上を超えるファン向けのオフライン・オンラインイベントを企画・運営。

コットン太郎(コミュニティディレクター/イベントMC、生放送MC) 
オフラインイベントや生放送を活用し、PCゲームやスマホゲームのユーザーコミュニティを15年間作り続けている。コミュニティ作りの基本方針は『ユーザーと一緒に作る、皆が楽しいで繋がる』
イベント制作は今まで約500回、生放送制作は1,000回以上、MCとしての出演は1,300回を超える。自らがコミュニティリーダーとしてコミュニティを先導するスタイルで活動。

【モデレーター】

窪 大輔(株式会社NAVICUS ゲームコンサルティングDiv.ドゥ シニアコミュニティマネージャー)
2019年、株式会社NAVICUS入社。国内外のゲームタイトルを対象にSNSを主軸としたコミュニティ戦略立案や実行を支援。ユーザー心理を掴んだ戦略・施策設計を得意とし、SNSだけでなくYouTubeの番組設計やリアルイベントの設計、インフルエンサーマーケティングなど、他のオフライン・オンライン手法を組み合わせたコミュニティマネジメント施策設計も行う。


コミュニティ施策のKPIはどうしている?

「エイリム・gumiでは、1つのゲームタイトルにおけるコミュニティの価値は、タイトルだけに留まらず、企業のブランディングにも紐づくと考えている」と話すかおりんごさん。

「まず前提として、コミュニティマネージャーはユーザーと開発チームの橋渡し役です。コミュニティがあることで、意思決定やチーム全体の連携を取りやすいサイクルが作れるんです。コミュニティを分析すれば、今一番求められている施策が何かの判断ができ、その結果タイトルへの信頼が高まってアクティブユーザーの増加に繋がります。
コミュニティがなぜ必要で、タイトルにどんな貢献をしてくれるのか、そのためのコミュニティマネージャーの役割をチームで理解することが重要。コミュニティマネージャーは単にユーザーを喜ばせるための存在だと思われていると、優先順位を下げられてしまいやすいです」と語ります。

コミュニティについてチームで理解が必要、と語るかおりんごさん

ただ、多くの会社では、コミュニティ施策がどうゲームに作用しているかわからず、リソースを振ることができていない側面があります。
おぐななさんは「個々のコミュニティ施策で事前にKPIを精緻に設計することは難しい。長期的なスパンで見える結果からしか逆算がしづらいので」と、その状況を理解しつつ、コミュニティ施策によってコアファンを維持できていると考えていると話します。
「共通の趣味を通した人間関係の構築を、コミュニティ施策を通して行うことで、ゲームを辞めない理由を作れます。ゲームをよりよくしていくことと並行して、コアファンが継続的にログインするきっかけを作ることで、ゲーム全体のKPIに影響を与えることが可能です」


コミュニティを盛り上げるには「任せる」こと

では、逆にコミュニティ側から見ると、一緒にコミュニティを盛り上げやすい会社だと感じるポイントはどこにあるのでしょう?
多くのゲームコミュニティをリードし盛り上げてきたコットンさんは、キーワードは『任せる』だと言います。ユーザーを信用し、任せ、厳しく規制するのではなく動きやすくすることが大事だそう。
コットンさんの話を受け、かおりんごさんとおぐななさんも、一定のリスクを取ったとしても、ユーザーを信じ任せる姿勢は最も重要だと強く同意しました。
またおぐななさんは、運営側を一緒に盛り上げてもらうために「ユーザーから信頼してもらう」ことも重要だと話します。
『逆転オセロニア』では、リアルイベントの設計は外部に任せるのではなくタイトル運営メンバーで行う、センシティブなデータも都度ユーザーに公開するなど、信頼感を醸成する動きを大切にしているという具体事例も語ってくれました。

9年続く長寿タイトル「逆転オセロニア」のコミュニティ作りとは

コミュニティマネージャーは一番のファンであれ

そして話題は、コミュニティマネージャーというポジションを置いているゲーム会社は、日本ではまだまだ少ない現状にも及びます。
海外タイトルでは配置が当たり前になっていることからもわかる通り、コミュニティからゲームを盛り上げ、結果的に長くゲームを愛してもらうために重要な役割です。その役割を担うために、コミュニティマネージャーは今後何をしていくべきなのでしょう?

かおりんごさんは、持つべきスキルややるべきことを言い出したらキリがないので、と笑いながらも「一番のファンでいること」に尽きる、と話します。
「公式やユーザーという壁を超えて、人間同士として対等な立場で尊重しあえると、社内・社外問わず耳を傾けてもらいやすくなります。コミュニティの役割を最大化するためには、開発チームとの密なやりとりも必要です。人を巻き込むには、本気でそのゲームに向き合い、まず自分が一番のファンでいることです」と、自身が手掛けた施策での失敗談も交えながら熱く語ってくれました。

熱心にメモを取る方も多く見られました

おぐななさんは、人が好きであること・人に向かって真摯に仕事ができることが何より重要だと考えるそう。
またコミュニティマネージャーのキャリアについても「ゲームタイトル運営にあたっては、ファンに愛されることの重要性が増しています。コミュニティマネジメントの観点は、タイトル運営においてほぼ不可欠と言っても過言ではないです。この観点を持つ人が、タイトル運営の意思決定をするレイヤーにチャレンジしていくべきだと考えています」と話します。

そしてコットンさんは、コミュニティリーダーの目線から見たコミュニティマネージャーについて「ユーザーに近い立ち位置ではあるものの、ゲームの知識ではユーザーには敵わないので、何事にも熱意を持って取り組む姿勢を見せることが大事」と語りました。
「コミュニティに対して真面目にまっすぐ取り組む姿勢をちゃんと見せることが重要です。この積み重ねが親しみを生み、親しみを感じ続けてもらうことで信頼を得て、よりコミュニティがよい状態になります。結局は人と人なので……。多少失敗しても、信頼があれば許されます」と、自身が主催するイベントを例に挙げながら話してくれました。

実例を交えたコットンさんの軽妙な話しぶりに、会場から笑いが起こる場面も


まとめ

各社の具体的な事例を豊富に挟みつつ、終始ゲームタイトルやコミュニティについて熱量が溢れ、非常に熱く盛り上がったセッションとなりました。会場には多くの方が訪れ、手元で熱心にメモを取りながら聞く参加者も多く見られました。

ゲームコミュニティはタイトルごとに必要な戦略や施策が全く異なるため「必要性は理解しつつも何をどうすればよいのかわからない」「コミュニティがなぜ必要なのかをチームで具体的に共有できない」という方がたくさんいらっしゃるかと思います。
今回のセッションは、そういった多くの方の参考になったのではないでしょうか。

タイトルが長く愛されるためのコミュニティとの向き合い方、具体的な戦略ややるべきことについて質問したい・アドバイスがほしいという方は、NAVICUSが誇るゲーム会社ご支援特化型チーム・ドゥにお気軽にご連絡ください。
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聞きに来てくださった皆様、本当にありがとうございました!



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