今、テレビ番組の告知は【切り抜き】がアツい!
みなさんこんにちは!株式会社NAVICUSのSNです。
僕はテレビ局のプロジェクトを主に担当しています。
そんな中で、テレビをもっとワクワクするものにするためにSNSでできることを常日頃考えています!
いきなりですがここ最近、TikTokを利用しているとテレビ番組の切り抜きをよく目にしませんか?
実際に、僕自身もTikTokのヘビーユーザーなんですが、テレビの切り抜きが回ってこない日はありません。
今日はそんな切り抜き配信について、僕なりの目線で『切り抜き動画をうまく活用するためのお話』をさせてください!
切り抜き配信とは
そもそも切り抜き配信とは、ライブ配信や長尺の動画の中で反響のあったシーンを切り抜いてダイジェスト版として新たに動画を配信することです。
ゲーム配信や有名配信者の切り抜き動画は、皆さんも一度は見たことがあるでしょう。最近では、その切り抜き配信のテレビ版が流行しているんです。
※ただし、アップロードされた映像を使って許可なく第三者が切り抜き配信を行うことは違法です。
なぜ切り抜き配信が流行?
ではなぜ今、切り抜き動画が溢れているのでしょうか?
それは一言で言えば「作成しやすさ」です。
通常、SNSに動画を投稿しようと考えた場合、企画、撮影、編集の一連の作業を行った後に投稿する必要があります。
一方、テレビ番組は既に企画から編集までが済んでいる素敵な素材なのです。しかも、それらはプロが作成したものです。
そのため、切り抜いたあとは投稿ボタンを押すだけです。
だれでも同じ高品質のクリップを作成できるため、投稿数が増えるのも納得できます。
予告VTRじゃダメなの?
テレビ番組の予告でショート動画といえば15〜30秒のPRスポット(予告VTR)で良いのではないかと思われる方もいるかもしれません。
要点が短い時間にまとまっていてとっても優れた動画となっています。
しかし下記の動画を見てください。
これはTBSドラマ『ラストマン』の公式TikTokに投稿されている動画です。
こちらは第4話のPRスポットです。
こちらの動画はこの記事を執筆している現時点では約9万回の再生数となっています。
一方で下記の動画をご覧ください。
こちらは同じ第4話の切り抜き動画で56.5万回、同じアカウントから投稿されており、なんと6倍以上の再生数を獲得しているんです。
この動画の他にも同じ第4話での切り抜き動画はほとんどがPRスポットよりも再生されています。
このことからも15~30秒の予告編よりも本編中の切り抜きの方が再生されているというファクトがご理解いただけたかと思います。
ではなぜ要点が詰まった予告編よりも、全ての内容が理解できないはずの切り抜き動画が再生されるのでしょうか。
視聴者の『宣伝』に対する受け取り方の変化
その理由の大きな要因として近年の視聴者側の受け取り方が変化してきたことがあると思われます。
ここ最近、インフルエンサーの投稿説明欄に「#PR」や「#Promotion」という文字を見かけることが多くなってきました。
これはステルスマーケティング防止の観点からインフルエンサーや企業の誠実さを示すための大事なハッシュタグですが、決まってコメントでは「案件だから〜」「なんだ案件か」という割とネガティブなコメントも目にします。
これは言い換えると『スポンサーからの案件動画だから褒めてるけど実際はどうなんだろう?』となり、視聴者は投稿者の本音を聞きたがっているのがよくわかります。
それが進むと『案件動画=本音じゃない』という構造が出来上がってしまい、どうしても「宣伝」というものに対して視聴者が拒否反応を示してしまっているんです。
結果SNSにおいて宣伝的なものはユーザーからスルーされる対象になってしまっています。
そしてこれはテレビの場合も同様で、いわゆるPRスポットなどの予告編は『結局最後のオチはどうなったの?』と実際の中身が見られない不完全燃焼のコンテンツとして認識されています。
そのため視聴者はもはや無意識的にPRスポット(宣伝)を見ない身体になってしまったのです。
ちなみにこれを「広告回避傾向」といって、テレビやTikTokに限らずマーケティング業界全体に見られる傾向です。
視聴者の違法アップロードがさらに切り抜きブームに拍車をかける
そしてそんな宣伝に拒否反応を示していたところに現れたのが、一般ユーザーによる違法な切り抜き動画でした。
例えば今TikTokなどで『水曜日のダウンタウン』と検索すると多くのユーザーが本編の切り抜きを非公式にアップロードしています。
そしてそれらの動画の多くが数十万〜数百万回再生とバズっているのが現状です。
※許可のない切り抜き動画投稿は違法であり、もちろんアップロードを推奨しているわけではございません。
しかし間違いなく今の視聴者の多くは宣伝だけで興味関心を持つことが難しくなっており、その先の中身のコンテンツを視聴することで見る価値のある番組なのかということを判断しているように感じます。
しかしこの「切り抜き動画が視聴者の興味関心を得ることができる」という事実を番組の公式がうまく利用できたらどうでしょうか。
権利的な問題はもちろん完璧にクリアしている、素材は一般ユーザーよりもたくさん持っていて編集スキルもピカイチです。
こうなると切り抜き動画をプロモーションとして活用しない手はないようにまで思えてきます。
切り抜き配信をうまく活用できているテレビ番組事例
ここからは僕が独自に、切り抜き配信が上手い番組を簡単にピックアップしました。
どの番組も切り抜き配信により多くのユーザーに認知拡大を図れています。
1.フジテレビ『あなたがしてくれなくても』
2023年4月クールに放送された『あなたがしてくれなくても』。
TVerの記録的配信数などでも話題になったドラマです。
僕はこのTVerの記録的快挙の一端を切り抜き動画配信が担っていると思っています。
『あなたがしてくれなくても』のTikTokアカウントですが、フォロワー数は7.3万人とそこまで多くはないものの、動画の多くは50~100万回と多くの再生回数を叩き出しています。
このアカウントの特徴としてテレビサイズを縦型動画に合わせてリサイズし、さらにテロップを入れることで視聴者がより動画のコンテンツに没入できる環境を作り出していることです。
縦型動画のメリットでもある画面の占拠率の高さが、視聴者を離脱させないための工夫として活かされているよい例としてピックアップさせていただきました。
2.日本テレビ『上田と女が吠える夜』
こちらの番組は2022年の4月からレギュラー放送がスタートしたバラエティ番組です。
この番組のようなトークバラエティはトーク単位でまとまりがよく非常に切り抜きに適しているため、公式だけではなく一般ユーザーからも多くの切り抜きが配信されています。
その動画の多くは簡単な上下テロップを付けただけのもので、放送日時の宣伝は簡単なものとなっており、前述の『あなたがしてくれなくても』同様にコンテンツに集中できる動画となっています。
TikTokerのmomohahaさんの動画はなんと370万回という再生数を叩き出しており、切り抜き動画のコストパフォーマンスのよさを物語っています。
3.テレビ朝日『霜降りバラエティX』
『霜降りバラエティX』は2019年4月から始まり、改題の後放送されている深夜のバラエティ番組です。
深夜ということもあり視聴率が取りづらい傾向にあるため、TVerなどの配信媒体に遷移させるためのURLをリンクに貼っています。
1回の放送につき約10本の切り抜きを作成するなど、動画施策を非常に精力的に行っているアカウントです。
さらに縦長動画にマッチさせるために、横型動画を縦に2分割したりテロップを入れ直すなど切り抜き配信用に再編集しているところが非常に参考になるアカウントです。
上記3番組は全く違う形の番組ではありますが、切り抜き配信でうまくそれぞれの要素を適応させており、とても参考になるアカウントづくりを行っている番組例です。
もしも僕が公式アカウントで切り抜きを行うなら・・・
最後にここで、もし僕がドラマのTikTokアカウントをPRに使用するならという誠に勝手な妄想の話をさせてください。
上記の番組の要素を加えつつさらに下記のコンテンツを配信することで、よりアカウントの価値が高まると考えています。
切り抜き配信の質と量
まず切り抜き配信は本放送後に10本行います。
そのエピソードごとの名場面をそのまま切り抜き、配信数を増やすことで番組としての認知拡大を図ります。
また今回放送分の切り抜きだけではなく次回エピソードの切り抜きを行います。そうすることで一般のユーザーには真似できない、公式が行う意味が生まれてきます。
撮影の合間のオフショットやメイキング
楽屋の風景や撮影現場でのオフショットは公式でしか出せない動画です。
さらに動画素材も編集を加えるのではなく縦型で撮影したものを撮って出ししたいところです。より強いリアル感を視聴者に味わって欲しいです。
未公開シーンの投稿
テレビの素材を余すことなく使用する。
あえなく本放送ではオンエアされなかった映像もSNSでの投稿で番外編として視聴者に楽しんでもらう。
上記に示したように『公式の強み』をうまく活かすことでより一層発信する情報の価値を高め、一般のユーザーとは違う唯一無二のアカウントになっていくことが公式アカウントの役目でもあると思います。
今後も増える切り抜き動画
ここまでつらつらと書いてきましたが、もちろん切り抜き動画にもいろいろな問題点はあると思っています。
違法な切り抜きユーザーを助長させることや、切り抜きを見ただけで満足してしまう視聴者、キャストの映像やSEが無許諾で使われる問題など公式がアップするには様々な障壁があります。
しかしテレビ離れが加速する現代において『認知の拡大』という目的に対しての最適解のひとつは切り抜き配信ではないかと考えています。
今後は公式からの切り抜きがもっとたくさんの番組で増えてきて、SNS上でテレビの話題化が起こることで「テレビってやっぱり面白い!」というユーザーがさらに増えてくれると期待しています。
少しでも気になった方はぜひ株式会社NAVICUSまでお問い合わせください♪